宙ぶらりんの日々

20代派遣OLのブログ。新婚で幸せいっぱい。

京アニの事件で奪われた、すべてのもの

 

痛ましい事件を受けて、体がちぎれてしまいそうだ。苦しい。ニュースもネットも見たくない。けれど見なくてはいけない。

葛藤がせめぎ合う中、ふと「華氏451」のセリフを思い出した。

 

『彼らが関わってた活動が全てストップしてしまった。 彼らは世界を形作っていた。

世界は彼らが亡くなった晩に1000万もの素晴らしい行いを失ってしまったんだよ』

 

「free!」「けいおん!」など素晴らしい作品を残してきた京都アニメーション。

通常「アニメ化」と聞くと、喜びと同時に不安が混じる。声優や構成、そして作画への不安だ。

しかし、制作会社が「京アニ」と言われると、手放しで喜ぶことができた。京アニが描く風景、人物、建築すべてが、アニメに彩りを与えてくれた。アニメは、動く絵があってこそ、初めてアニメになりうるんだと改めて認識させてくれた。

 

その功績を、一瞬で、燃やしてしまった

 

「なぜ」という言葉が止まらなかった。

犯人は「パクリやがって」「死ね」と叫んでいたそうだ。何かしらの恨みがあったのだろう。

 

しかし炎に焼かれる彼らが、何の罪を犯したのだろうか。

あれだけの作品を残す、技術と才能を持った彼らに、何の罪があったのだろう。

 

お前の口は何のためにあるんだ

お前の理性は何のためにあるんだ

お前の心は何のためにあるんだ

 

いくらでも訴える方法はあったはずだ。それらを全てすっ飛ばして、感情のままにガソリンをまくなんて、理解の範疇を超えすぎている。

そして心から怯えた。

テロ行為に対して、人間はあまりに無力だ。

理解できない奴らに、理不尽に殺される可能性が、そこらへんに転がっている。

 

今回奪われたのは、命だけじゃない。

 

『境界の彼方』という作品がある。

そこで登場する建物は、ある喫茶店をモチーフにしている。友人の知り合いの店で、話を聞くところでは、アニメ好きがよく訪れているらしい。

お客さん同士が仲良くなったり、アニメをきっかけに常連になったり、一つのアニメがたくさんの御縁を繋ぐのだと感心した記憶がある。

今回のテロ行為は、そういった縁も焼き尽くしたといってもいい。

 おそらく、あの喫茶店は悲しみに包まれることだろう。

一つのアニメで繋がった温かい縁が、深い悲しみに変わってしまうだろう。

 

『彼らが関わってた活動が全てストップしてしまった。 彼らは世界を形作っていた。

世界は彼らが亡くなった晩に1000万もの素晴らしい行いを失ってしまったんだよ』

 

世界の人々を魅了した作品が、一晩にして奪われてしまった。

その作品に救われた人が、何人もいたはずなのに。救われる機会さえも奪われてしまった。

 

 残された人々はどうしたらいいのだろう。

このようなテロ行為をなくすには、どうしたらいいのだろう。

私たちは考えなくてはいけない、歩みを止めてはいけない。無力だと分かっていても、テロ行為に屈してはいけないのだ。

 

亡くなられた方の、ご冥福をお祈りいたします。